生を学ぶ

エンバーミングを施す際に、すくなくも3時間は故人と向き合います。そんな中で生と死を比較することがあります。エンバーミングルームという密室で仕事をしているせいか、生きている有難さを改めて考えさせられます。

それは身体が不自由なく動くこと、思考が働いていること、疲れを感じること、お腹が空くこと、トイレに行きたくなること、人恋しくなること等々です。何ごとも無く日常を過ごせていることに感謝せずにはいられなくなります。

故人を前にして、第三者からみれば魂の抜けた身体はまさに『死体』。亡骸とはよく言ったものです。客観的に、ご遺体と生きている人が向き合っている姿はとても不思議な光景です。普段何気なく交わす会話や感情が奇跡と思えてくるからです。死をみつめた時、同時に生について考えると云います。

また、解剖後のご遺体にみることができる臓器。見習いの時に、エンバーマーの一人が一つひとつの臓器にまつわる機能や役割を教えてくれました。しかも実物を手に取りながら…。臓器の中には、解剖で切開した後のものもあり、断面や中の構造をみることができました。とても人の手によって造形できるものではありません。小さな細胞から一つひとつが形成され、機能し、人の営みを支えている臓器は想像を超えた美しさがあり感動すら覚えます。

大げさな言い方かもしれませんが、生きていること生かされていることに感謝します。

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