エンバーミングは"Art"

エンバーミングの技術を披露し初の実体験をさせてくれたジェフさん。彼が後に通訳の方を通してエンバーミングの考え方について話してくれたことがあります。冒頭、まずはエンバーミングの定義から。それは、Disinfection(殺菌・消毒)、Preservation(防腐)そしてRestoration(修復)であると。この3つの要素を踏まえてエンバーミングがなりたっていると言うのです。そして、総合的にはアートという言葉をもちいて、傷んでいく、もしくは傷んでいる故人を限りなく生前に近い状態にするための仕事であると同時に、遺族へ少しでも悲嘆を軽減するためのものであったり、故人への尊厳も踏まえた技術であると。ゆえに技術ばかりが先行してもダメだと言うのです。技術に伴う心がなければ、アートではないと。エンバーミングの初体験の衝撃もさることながら、この話はとても印象的だったことを覚えています。

アートというと芸術。直訳すると確かにそうなりますが、この場合のアートとは芸術としての創作だったり、単に我々が想像する意味合いとは異なります。ジェフさんの言うアートとは、エンバーミングの目的に沿って故人を綺麗にするといった技術にまつわることだけでなく、エンバーマーとしての姿勢、葬儀全体を踏まえた在り方を伝えてくれたような気がします。

現在、ジェフさんはオーストラリアにいらっしゃるとのこと。エンバーミングを再スタートしてから時折思い出されます。そして、当時彼が作ったエンバーマーとしての行動規範、エンバーミングルームの環境衛生を踏まえた使い方、インストロメンツ(器具)の管理の仕方など、今でも受け継がれ染みついています。この経験がなければ今の自分はないと言っても過言ではありません。有難い限りです。

最後にもう一人、オーストラリアといえば、とてもお世話になったエンバーマーがいました。彼女はオーストラリア出身のエンバーマーです。彼女の名はデブラ。解剖の際に、臓器を手に取って教えてくれたのが彼女です。次回は、彼女のエピソードをご紹介します。

 

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