葬儀ビジネスの行方/2025年問題 – The future of the funeral business –

様々な分野の専門家が警鐘を鳴らし続けてきた「2025年問題」。財政難、税収の問題、社会保険制度の問題、医療や介護の問題、さらに広がるであろう格差社会など、2025年の日本社会が掲げる課題や問題がこれまで取り沙汰されてきました。日本の人口は約800万人以上減少し、15歳から64歳の生産年齢人口は7000万人まで落ち込みます。65歳以上の人口は3500万人を突破し、団塊の世代が75歳をこえることにより国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上と超・超高齢社会に突入します。

では、葬儀ビジネスと、2025年問題はどのように結びつくのか。死亡者数が150万人をこえると予測されている2025年ですが、その先の2040年までは増加の一途をたどります。

内閣府HP及び厚生労働省:平成17年人口動態統計(確定数)の概況より準拠

現在、全国の病院のベッド数は135万床ですが緩やかに減りつつあります。高齢者の増加に伴い、2025年に必要とされるのは152万床。にもかかわらず国は、現在よりも16万から20万床減らす目標を示しました。病床の機能別に減らす割合を決め、一方でリハビリを施す回復期の病床は3倍に増やすことで、入院している患者がなるべく早期に退院できるように力を入れると言っています。手厚い医療を必要としない30万人以上を、自宅や介護施設での治療や療養に切り替え、増え続ける医療費を抑えることが狙いのようです。仮に病床を減らせても、受け皿になる介護施設や自宅でどこまで対応できるかは不透明で課題が多く残ります。

受け皿の一つ、介護施設も公共型や民間型があり、老人ホームや保健施設などの様々な種類があります。しかし要介護者の増加で業界は大きく発展していくと予想されたにもかかわらず、異業種から安易に参入し厳しい現状を知るにつれ運営が出来なくなったり、過酷な労働により働き手がいなくなり経営が破たんするなど、過去最多のペースで倒産が相次いでいます。

受け皿のもう一つは自宅ですが、自宅に返されても要介護者です。そうなると必要になるのが、在宅介護に大きな助けとなる介護職員ですが、介護職員もまた、2025年には約38万人不足すると予想されています。

これまでのように病院で最期を迎えるのではなく、施設や自宅で家族が看取ることが多くなるにもかかわらず、こうした受け皿の減少は大きな不安材料となります。

また、後期高齢者の一人暮らしは増え続け、加えて若年層の孤独死が急増していることにより葬儀の需要は増え、その点だけをみれば葬儀業界は魅力的な市場ともいえます。

矢野経済研究所推計より準拠

葬祭事業者売上高(上図)と利用者が支払う平均費用(下図)のグラフを見比べてみると、葬儀規模の縮小や参入事業者間の価格競争の影響はあるものの、死亡者数の増加に添うように葬祭事業者全体の年間売上は右肩上がりですが、利用者が支払う平均費用は年々右肩下がりになっています。

葬儀紹介サイト「いい葬儀」が、お葬式に関する全国調査の結果 2017年11月より準拠

これは急激な死亡者数の増加が、年間売上を伸ばしていることに他なりません。利用者にとっては医療費や介護費がかさみ、葬儀代がいくらかかるのかという不安が少し解消される朗報と言えるでしょう。しかし葬儀社は、請求金額に関わらず提供する時間やサービスはあまり変わりません。同じ利益を得るために、以前なら1件のところを現在では2~3件分受注しなければ経営は成り立たず、あっという間に赤字になります。魅力的に見える葬儀業界ですが、大きな転換期なのかもしれません。

内閣府HP及び厚生労働省:平成17年人口動態統計(確定数)の概況より準拠

それに加え、生産年齢人口減少の煽りをうけ、葬儀業界においても人手不足が予測されます。儀礼文化としての意味合いを持つ葬儀の現場では、国が推奨する海外からの労働力は即戦力になりません。また、地域差や宗教によってしきたりが異なり、決して単純な仕事ではないからです。同じような金額でも、要望や希望によって内容を変え、悲しみに寄添いながらも業務を遂行していきます。このように、肉体的な労働に加え、細やかな心配りが必要となり、扱う件数が増えることにより心身ともに極限まで疲労していきます。売上を維持または向上するためには2倍近くの時間や労働力が求められますが、早急に労働環境を見直さなければ、経営は成り立たなくなるでしょう。これまで以上に葬儀社間の統廃合が加速すると思います。

 

また、業界に追い打ちをかけるように、葬儀規模の縮小も経営者の頭を悩ませる問題の一つです。

少子高齢化、若年層貧困化、死亡の高年齢化が今後ますます進むであろうことから、葬儀規模の縮小と直葬(火葬式)増大はまちがいないでしょう。市場規模≒喪主世代の財力とすれば、パイは縮小傾向にあるのかもしれません。他業種から参入しても旨味は既に無く、他業種参入も既に一段落といったところかもしれません。(オフィス『仁』:ブログ回答より一部抜粋)

そして、連日のように葬儀規模の縮小を後押しするような記事が目に留まります。例えば「50歳を過ぎたら葬儀には行かない方がいい」東洋経済、「派手な葬儀はみんなが迷惑する『20万円で家族葬でどう?』」現代ビジネス、「葬儀をする前に知っておきたい真実とは?」ブログ管理人:会社員(元僧侶)など、読めば読むほど利用者の声や動向を知り、考えさせられます。

主に首都圏のことですが、死亡者数の増加に伴い火葬場不足の問題も深刻になってきました。一般的に友引の日は「友を引く」と言われ、葬儀や火葬を避ける傾向がありましたが、今では友引の日も稼働し、火葬時間も延長するところが増えてきました。それでも場所や時間帯、季節によっては一週間から10日程度待たされることも多くなりました。本格的な多死社会はもう少し先ですが、すでにこのような状況にあり、火葬場の増設や新設が必要です。しかし、住民や近隣施設からは賛同は得られず、反対運動が起きるのが常です。また、ピークを迎えた死亡者数がその後、減っていくことも見据えて計画を立てなければいけません。ピークに合わせて増やすだけでは、やがて過剰となるからです。こうした事を踏まえ、火葬場を増やすのではなく、火葬までの間安心して預けられる安置所が必然的に求めらるようになります。

これまでに挙げた2025年問題と共に危惧されるのが「死後様々な要因が重なり、葬儀や火葬、埋葬が順番待ちとなる葬儀難民の増加」

もちろん、地域によって火葬場での順番待ちのような心配は不要かもしれません。しかし、少子化と労働人口減少の波は全国等しくやってくるので、葬儀の順番待ちということはあるかもしれません。そして比較的人口が多い都市部では、多死社会は「葬儀難民」につながるのです。

不安要素を並べてきましたが、世の中の動きを敏感に感じ取る経営者のいる葬儀社は、こうした変化にいち早く手を打つでしょう。変化はチャンスのキッカケでもあります。世の中が大きく変わるときにこそ、多くのチャンスが潜んでいます。

そして利用者には、葬儀難民にならないよう生前予約をお勧めしますが、まずはテレビや雑誌から発信されている、終活情報に興味を持ってください。自分の葬儀、家族の葬儀、どうしたいのか、どうして欲しいのか・・・。考えてみるだけでも終活です。自分の最後や見送り方から目を背け先延ばしにしがちですが、寝たきり期間の平均は9~12年と言われています。気付けば始まっている寝たきり生活や介護生活。本人は身体が思うように動かず気は滅入るばかりで、家族は忙しい日々の暮らしに加え終わりの見えない介護が始まります。そうした中で切り出しにくいのが”葬儀”と”その後”の話です。まだまだ先だから・・・ではなく、元気な今だからこそ出来ること。本人の希望が尊重されるか、これで良かったのかと迷いながら家族だけで決めてしまうかで、葬儀内容は大きく違ってきます。それはもちろん、葬儀費用にもかかわってくることです。費用に関わらず「世間の一般的な葬儀」ではなく「自分たちらしい葬儀」を形にするために、元気なうちに話し合い、お互いの思いを知る時間こそが、一番大切な時間なのかもしれません。

 

ブログをお読みいただき有難うございます。

埼玉県八潮市浮塚の拠点(エンバーミングセンター)から一都三県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)を中心にエンバーミング・サービスを提供している株式会社ヴェクサスです。エンバーミングのご利用がなくても、24時間体制で病院のお迎えやご遺体の安置(保冷機能付施設)を承ります。また、葬儀社選びにお困りの際にご連絡ください。

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よろしければ”ホームページ / The Embalming”もご覧ください。

葬儀ビジネスの行方/2025年問題 – The future of the funeral business –” に対して1件のコメントがあります。

  1. 原ゆかり より:

    よく理解できました!ありがとうございます

    1. VcSS より:

      原さん、ありがとうございます!

  2. 藤田英雄 より:

    全文読ませていただきました。分かりやすくまとめられましたね。興味深いレポートでした。貴兄の文才にも敬服しました。

    1. VcSS より:

      藤田様
      ありがとうございます。そう仰って頂けると励みになります。引き続き、ご指導のほどよろしくお願い致します。

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