エンバーミング実施要項

はじめに

エンバーミングとは独特の技法を用いて遺体の容姿を整え、損傷があれば修復し、防腐及び防疫的な処置を施すことを表す言葉です。
土葬を基本とする欧米では古くからこのエンバーミングが行われて来ていますが、現代においては海外派兵や国際旅行者の急増に伴い、事故や突然の死などによる葬儀の需要も国際的な広がりを見せています。
SNSを例に取るまでもなく、最近の情報ネットワークの拡散速度は眼を見張るものがあり、「葬儀」の形態も多様化する中で、葬儀業務が担う役割や使命も広範な情報が必要とされます。
とりわけ海外への遺体搬送などを含む葬儀依頼などに備えるためにも、私どもはエンバーミングの基礎知識を皆様にお伝えすることが一つの使命と考えております。

我が国における現状とエンバーミングのあり方

日本にエンバーミングが導入されてから約30年、未だ適切な公衆衛生や公衆概念が浸透せずにいるため、著しい発展を遂げていません。
本来、エンバーミングとは、遺体を修復保全し遺族や葬儀に関わる方々への感染を妨げ、ある一定期間、衛生的な維持がかなうことにより、時間にゆとりを持ったお別れが可能となります。海外をはじめ遠方からの弔問にも対応できます。
また、遺体を衛生的に限りなく生前に近い状態で遺族にお返しすることは、葬儀に携わる者として最高のおもてなしであると信じております。
その理由の一つとして日本でのエンバーミングは、欧米のようなドライな捉え方ではなく、精神的なケアに貢献するために導入されたからです。死亡者数の増加に伴い、葬儀への多様性はますます広がりつつあります。業界の内外問わず、私どもはエンバーミングを通して葬儀ビジネスを見直し、教育制度、資格制度、協会づくり、ひいてはお客様保護を踏まえた法制化に結び付けたいと考えております。
この素晴らしい技術をキッカケに葬儀に携わる方々が等しく情報の共有ができ、より良いサービスが提供できる環境づくりに貢献することが、私どもの使命と自負しております。
エンバーミングの技術は、一般的な葬儀の流れにおける一躍ばかりでなく、すでに欧米諸国においても立証されているように、災害時での遺体の保全にも大きく役立っています。
また、海外から多数の観光客及び就労者や留学生が来日している昨今、不幸にして日本国内で事故あるいは病気でお亡くなりになられた外国人の数が増加傾向にあります。このような場合には、葬儀社が直接または間接的に関わっていますが、海外移送の際に非常に役立つのがこの技術です。
2020年の東京オリピックに先立ち、多様化するニーズに対して、エンバーミングがお客様に寄添う一つのケアであると受けて止めて頂けたら幸いです。